時は大正末期。
日本が軍事国家として世界と争わねばならない、
熾烈な時代。
主人公・柊 京一郎は帝國大学へ進学するため、
帝都へと上京する。
勉学に邁進し、
郷里のためにひとかどの人物になると決意していた
京一郎はしかし、己が持つ特別な力のために
軍部―大日本帝國陸軍―に
目をつけられることになる。
死んだ人間――死霊が見えるようになったのは
大病を患った幼少時。
その時からずっと京一郎にとって
恐怖の対象でしかなかった死霊を、
軍部は外国の脅威に対抗するための力として
用いようとしていた。
軍部とその計画を阻止しようとする者たちの対立が、
京一郎の運命を巻き込んで、
帝国の未来を変えていく――。
ミサキ、時雨、館林、千家、そして伊勢兄弟。
大正、昭羽……
激動の時代を駆け抜けた青年たち。
帝都を舞台に繰り広げられる二人のその後の物語――。
ミサキ編
昭羽の世。京一郎はその後大学に通い、勉学に励んでいた。
だが気掛かりなのはミサキのこと。
いつになればミサキは元の姿に戻ることが出来るのか、
その為に自分が出来ることはないのか。煩悶を抱えた京一郎に、
ある日軍部から依頼が来る。根の路をミサキに視てほしい――と。
時雨編
昭羽の世。時雨は五本刀頭領として神社局に勤める京一郎とともに魂送りを行っている。
だが世相は神秘をオカルトと遠ざけ、死者の魂の鎮魂をおざなりにしはじめていた。
そんな中、五本刀の子供達から異能が失われていくという
異変が発生した――自分達の役割とは、苦悩する時雨。
千家編
大正の世。帝國陸軍少尉として千家伊織とともに行動している京一郎。
だが異能を使い、死霊兵団が勝利を挙げるたび、軍部内での軋轢が高まっていく。
そんな折、自分達を監視する視線を感じる京一郎。
伊織の身辺警護を厳にするため、ある男を一人雇う――。
館林編
大震災後の復興も目覚しいモダン都市・東京。帝都、國巫の膝元。
館林開は、一度は返上した階級を再度賜り現在は陸軍大佐である。
柊京一郎は少尉として館林を支えていた。
そんな折、幽霊軍人の目撃が多発している、と報告が入った。
死霊兵の捜索を開始した館林隊だったが――。
伊勢兄弟編
昭羽の世。京一郎は館林部下として帝國軍人としての職務を全うしていた。
だが、同僚である馨が、薫の命日が近くなるにつれ元気がなくなっていく。
気になった京一郎はある日部屋を訪ねることに。
その時馨の部屋から声が聞こえてきて――?