物語
日々寝る間も無くガテン系のバイトを掛け持ちしていた主人公の日天は、
ある日『喪服の青年』の後を追って奇妙な世界に迷い込む。
『宿』での逗留を続けて月日は巡り――いつしか季節は夏になっていた。
元の世界へ帰る方法は相変わらず見つからないものの、
『宿』で仲間達と過ごす日々の中でこの世界での生活に居心地の良さを感じていた。
そんな非日常の日々の中、不気味な影につきまとわれるようになる。
皆に迷惑は掛けられないと、
誰にも言えないまま不安な日々を過ごしていた日天だったが……。
いつかの陽炎と過ごす、ひと夏の物語。
ある日『喪服の青年』の後を追って奇妙な世界に迷い込む。
『宿』での逗留を続けて月日は巡り――いつしか季節は夏になっていた。
元の世界へ帰る方法は相変わらず見つからないものの、
『宿』で仲間達と過ごす日々の中でこの世界での生活に居心地の良さを感じていた。
そんな非日常の日々の中、不気味な影につきまとわれるようになる。
皆に迷惑は掛けられないと、
誰にも言えないまま不安な日々を過ごしていた日天だったが……。
いつかの陽炎と過ごす、ひと夏の物語。
『宿』に滞在する事、
あるいは、
『現世』に帰還する道を選んだ日天。
共に困難を乗り越える中で日天が愛した【彼】と紡ぐ、
苦くて甘い8つの物語。
『贄の町』を彩る人々が紡ぐ過去の物語。
時代が進むと共に少しずつ人が増え、
その度に、価値観、文化、景色、暮らし方
――何もかもがゆっくりと変わっていった。
その中で唯一変わらない子供の姿のままの黒定は、
赤い瞳で白介が幸せになる未来だけを見据えていた。
田舎の片隅で、白髪と赤い瞳を持った双子が産声をあげた。
その容姿は村では不吉の前兆とされ、
産まれてすぐに殺さなければならない決まりだったが、
夫婦は我が子を手に掛ける事が出来なかった。
時は流れ、白介、黒定と名付けられた双子と両親は
村の人間に忌み嫌われ、貧しい生活をしながらも村の外れで幸せに暮らしていた。
あの日までは……。
――これは、大家さんが"贄の町"を作るまでの昔話。
甥の雪平が実の父親に虐待を受けている現場を目撃し、現行犯で逮捕した。
保護した雪平を引き取れそうな人間は身内にはおらず、
自分も職業柄忙しく、何より子育てなんてした事が無い。
それなのに――死んだような目をして途方にくれる雪平を見ていられず
気付けば「一緒に住むか?」と口にしていた。
激しい暴力を受ける日々の中、とうとう通報が入り保護される事になった。
保護された先で都々之江を待っていたのは、児童養護施設での新しい生活。
まともな教育を受けてこなかった都々之江にとって、
新しく覚えなくてはいけない常識や人間関係、勉学等、面倒だと感じる事ばかり。
その中でも特に煩わしいのが、相部屋の少年笑男。
何かと自分を気にかけ、"家族"だと笑う笑男が
都々之江はただただ気持ち悪くて仕方がなかった。
自分の事にしか興味が無い両親は、子供への関心が無かった。
でも、それが普通だと思っていた。
そんなある日、弟の日天が産まれる。
それから母はよく家にいるようになり、
父も早めに仕事を終わらせて帰って来るようになった。
沙汰が物心をついて初めて、家族らしい時間を過ごした。
そんな幸せな時間もつかの間、母は沢山の荷物と共に出て行ってしまう。
「お兄ちゃんなんだから、ちゃんと日天の事見てあげてね」
――と言う言葉を残して。
母親から言いつけられた"兄"を自分なりに演じるも、
正しい"家族"を知らない沙汰は、
日天にどう接していけばいいのか分からず兄としての立場に苦悩する。
シロの鬼哭
"贄の町"が作られてから幾百年後の未来。時代が進むと共に少しずつ人が増え、
その度に、価値観、文化、景色、暮らし方
――何もかもがゆっくりと変わっていった。
その中で唯一変わらない子供の姿のままの黒定は、
赤い瞳で白介が幸せになる未来だけを見据えていた。
クロの開闢
時は戦国室町時代。田舎の片隅で、白髪と赤い瞳を持った双子が産声をあげた。
その容姿は村では不吉の前兆とされ、
産まれてすぐに殺さなければならない決まりだったが、
夫婦は我が子を手に掛ける事が出来なかった。
時は流れ、白介、黒定と名付けられた双子と両親は
村の人間に忌み嫌われ、貧しい生活をしながらも村の外れで幸せに暮らしていた。
あの日までは……。
――これは、大家さんが"贄の町"を作るまでの昔話。
藤小町の後悔
現役の刑事である小町は、甥の雪平が実の父親に虐待を受けている現場を目撃し、現行犯で逮捕した。
保護した雪平を引き取れそうな人間は身内にはおらず、
自分も職業柄忙しく、何より子育てなんてした事が無い。
それなのに――死んだような目をして途方にくれる雪平を見ていられず
気付けば「一緒に住むか?」と口にしていた。
空五倍子都々之江の残夢
長年両親から壮絶な虐待を受け、存在を否定されながら育った都々之江。激しい暴力を受ける日々の中、とうとう通報が入り保護される事になった。
保護された先で都々之江を待っていたのは、児童養護施設での新しい生活。
まともな教育を受けてこなかった都々之江にとって、
新しく覚えなくてはいけない常識や人間関係、勉学等、面倒だと感じる事ばかり。
その中でも特に煩わしいのが、相部屋の少年笑男。
何かと自分を気にかけ、"家族"だと笑う笑男が
都々之江はただただ気持ち悪くて仕方がなかった。
清澄沙汰の至福
男癖の悪い母、仕事人間の父との間に産まれた沙汰。自分の事にしか興味が無い両親は、子供への関心が無かった。
でも、それが普通だと思っていた。
そんなある日、弟の日天が産まれる。
それから母はよく家にいるようになり、
父も早めに仕事を終わらせて帰って来るようになった。
沙汰が物心をついて初めて、家族らしい時間を過ごした。
そんな幸せな時間もつかの間、母は沢山の荷物と共に出て行ってしまう。
「お兄ちゃんなんだから、ちゃんと日天の事見てあげてね」
――と言う言葉を残して。
母親から言いつけられた"兄"を自分なりに演じるも、
正しい"家族"を知らない沙汰は、
日天にどう接していけばいいのか分からず兄としての立場に苦悩する。
本編エンディング後の
あったかもしれない"もしも"の物語。
狭く薄汚れた部屋で目が覚めた日天。
その日から、無理矢理暴力を振るわれる監禁生活が始まった。
あすくは変わらず、日天の世話を甲斐甲斐しくおこなっていた。
その甲斐もあってか、最近日天の様子に少し変化が出てきたようで――
「贄の町」は宿も町も人間も随分と様変わりをし、
人々にとって、日天と双子は愛し、畏れ、崇め奉る存在になっていた。
それでもマスコットとしてすっかり宿に馴染んでいた。
そんなある日、目が覚めると恋人のココがいない。
勝手に部屋を出てはいけないと言いつけられているが、
いつもより戻ってくるのが遅い事を心配した日天は、ココを探しに部屋を出る。
その途中、最近入居してきた中年男に襲われて――
ジムのインストラクターとしての仕事は順調で、周囲の人間関係も良好。
幼い頃にいなくなった両親の代わりに日天達を支えてくれる叔母家族。
学生時代からの友人達。
昔助けた事をきっかけに仲良くしている成臣。
獣医を目指す親友のあすく。最近知り合った笑男と都々之江。
ひょんな事から日天の働くジムに通うようになったモデルの雪平。
近所にある神社の子供であるシロとクロ。
大好きな兄。
平凡だが充実した生活を送っていたある日、
日天がもの心つく前に蒸発した母が突然帰ってきて――
あったかもしれない"もしも"の物語。
蘇芳笑男・終焉壱 - その後
気を失っている間に都々之江に拉致され、狭く薄汚れた部屋で目が覚めた日天。
その日から、無理矢理暴力を振るわれる監禁生活が始まった。
緑青あすく・終焉参 - その後
日天が老人に食われかけたショックで壊れてしまってから一年半。あすくは変わらず、日天の世話を甲斐甲斐しくおこなっていた。
その甲斐もあってか、最近日天の様子に少し変化が出てきたようで――
朽葉成臣・終焉壱 - その後
シロの手をとったあの日から幾星霜の時が巡った。「贄の町」は宿も町も人間も随分と様変わりをし、
人々にとって、日天と双子は愛し、畏れ、崇め奉る存在になっていた。
ココ・終焉弐 - その後
数カ月前からの記憶しか無い日天は、それでもマスコットとしてすっかり宿に馴染んでいた。
そんなある日、目が覚めると恋人のココがいない。
勝手に部屋を出てはいけないと言いつけられているが、
いつもより戻ってくるのが遅い事を心配した日天は、ココを探しに部屋を出る。
その途中、最近入居してきた中年男に襲われて――
終焉陸 - その後
主人公の清澄日天は、東京の一等地に建つマンションで兄の沙汰と二人暮らしをしている。ジムのインストラクターとしての仕事は順調で、周囲の人間関係も良好。
幼い頃にいなくなった両親の代わりに日天達を支えてくれる叔母家族。
学生時代からの友人達。
昔助けた事をきっかけに仲良くしている成臣。
獣医を目指す親友のあすく。最近知り合った笑男と都々之江。
ひょんな事から日天の働くジムに通うようになったモデルの雪平。
近所にある神社の子供であるシロとクロ。
大好きな兄。
平凡だが充実した生活を送っていたある日、
日天がもの心つく前に蒸発した母が突然帰ってきて――